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中国のパブリッシャーNetEaseは、『荒野行動』(※本稿での『荒野行動』はモバイル版のみを対象とします)を始めとして多彩なジャンルのモバイルゲームをリリースし続けています。Sensor Towerのデータによると、2025年1月から9月までの中国におけるモバイルゲームパブリッシャーの収益ランキングでは、Tencentに次ぐ2位のポジションを獲得しており、自国での人気がデータからも確認できます。
ですが、NetEaseのモバイルゲームでは、中国よりも日本が主要市場となっているものがあります。ここでは、その代表事例を2つ見ていきます。
1つめは、日本のランキング上位によく顔を見せる『荒野行動』です。同作は2017年12月にグローバルリリースされたバトルロイヤルタイトルです。Sensor Towerのデータによると、2025年1月から9月までの同作の市場別ダウンロード数・収益シェアは、いずれの指標においても日本がトップ市場となっています。

上記のグラフからわかるとおり、ダウンロード数では中国の2倍近いシェアを占めています。収益においては、95%が日本からのものとなっており、『荒野行動』において日本が主要市場であることは明らかです。
『荒野行動』(サブジャンル:FPS/3PS)の日本における人気は、別のデータからも確認できます。Sensor Towerのデータによると、2025年1月から9月までの日本におけるFPS/3PSジャンルの収益ランキングでもトップとなっています(レーシングジャンルについては後述します)。

同期間に『荒野行動』は唯一1億ドル以上の収益を達成しており、2位の『Call of Duty: Mobile』に3倍以上の差をつけていることは特筆できます。日本の同ジャンルにおいて、『荒野行動』は際立った存在となっていることが確認できます。
日本市場における『荒野行動』の安定した収益は、日本で人気のIPとのコラボレーションに支えられていると言えます。Sensor Towerのデータによると、2025年1月から9月までの日本における収益推移を見ると、各IPとのコラボ実施に合わせて、大きな伸びを確認できます。

収益上昇に合わせて、WAU(週間アクティブユーザー数)も同時に上昇する傾向が確認でき、日本における人気IPとのコラボ効果が有効に作用していることがわかります。同期間においては、『エヴァンゲリオン』が収益に、『鬼滅の刃』コラボがWAUに大きな効果が見られます。
2つめのタイトルは、『レーシングマスター』です。同作は中国で先行リリースされ、日本では2024年8月にリリースされたレーシングジャンルのゲームです。Sensor Towerのデータによると、2025年1月から9月までの同作の市場別ダウンロード数・収益シェアは、ダウンロード数では中国がトップとなっており、日本は6位(4.7%)です。

ですが、収益シェアでは日本は35%を占めてトップとなっており、RPD(1ダウンロードあたりの収益)の高さが際立っていると言えます。また、前述のグラフからもわかるとおり、同期間の日本におけるレーシングジャンルタイトルにおいても、『レーシングマスター』は2位の『ドリフトスピリッツ』に約3倍の差をつけてトップとなっています。
この収益を支えているのは、同作における日本車の実装にあると言えます。Sensor Towerのデータによると、2025年1月から9月までの日本における『レーシングマスター』の収益推移を見ると、日本車の投入に合わせて収益が上昇していることが確認できます。

いずれも日本で人気の車両で、中古車市場でも高値で売買されている走りにこだわった車です。「JAPAN SPIRITS」は期間限定のガチャイベントでしたが、これらの人気車両の一部がフィーチャーされたことで、収益向上に寄与したことがわかります。また、同作はリリース時に日本で人気のドライバーである土屋圭市や織戸学、40万人以上のチャンネル登録者を持つ車系YouTuberあま猫を起用したプロモーションを実施して、初速を上げました。
これら2つの事例からわかることは、UIやムービーの翻訳にとどまらない、市場に合わせたローカライズおよびライブオペレーション(Live Ops)を丁寧に実施した結果が実を結んでいると言えます。モバイルゲームのグローバル展開において、こうした活動は1つの大きな要因になることを証明しています。
Sensor TowerのApp Performance Insightsのユーザーは、過去のパフォーマンス指標に加えて、アプリ収益とアプリダウンロード数の推定値を見ることができます。本レポートのSensor Towerの収益予測はApp StoreおよびGoogle Playからのもので、ユーザー総消費額を表しています。
また、データにはサードパーティのAndroidマーケットデータは含まれておらず、App StoreもしくはGoogle Playアカウントの初回ダウンロードのみ集計しています。同じアカウントが他のデバイス、もしくは同じデバイスで行った重複ダウンロードは集計に含まれていません。ダウンロードデータは同じアプリの異なるバージョンもまとめて集計しています(例:FacebookとFacebook Lite)。なお、Google Playは中国本土では利用できません。
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Sensor Towerの紹介
2013年にサンフランシスコで設立されたSensor Towerは、P&G、Tencent、HBOなどのグローバルデジタル企業から信頼されている、データや分析環境を提供する企業です。モバイル市場のトレンド把握に役立つApp Performance Insights、広告戦略の最適化に活用いただけるApp Advertising Insightsなど、デジタル分析プラットフォームとしてモバイルのあらゆる場面で質の高いインサイトと先進のカスタマーサポートを提供しています。
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