ブログ

Sensor Tower · Hideyuki Tsuji · August 2025

Ani実装で7月に生産性アプリダウンロード数成長量トップとなったGrok、実装後にDAU2倍に

AIはモバイルでも1つの大きな世界的トレンドとなっており、日本でも画像生成やLLMなどが人気となっています。こうした中、xAIが2025年7月に投入した『Grok』内のAIコンパニオン「Ani」が話題となり、「Grok」や「Aniちゃん」といったワードがトレンド入りました。これはデータにも現れており、『Grok』は日本のApp Storeにおける生産性アプリダウンロード数成長量トップ、DAUは2倍以上を記録しました。

Grok-Hero

AIコンパニオンAniの実装でDL成長量でトップ、収益成長量で2位と急成長したGrok

xAIが開発したAI搭載アシスタントの『Grok』は、DeepSearchを活用してユーザーからの質問への回答、画像生成、Xやウェブデータにアクセスして最新の情報提供などをしてくれるモバイルアプリです。似たような機能を持つモバイルAIコンパニオンアプリはありますが、話題となっているのはAniの実装です。

Aniはツインテールの女性3DキャラクターのAIコンパニオンで、レッサーパンダのBad Rudiと共に、2025年7月14日にiOS版のGrok内に実装されました。8月には3人目のAIコンパニオンとして、男性キャラクターのValentineも実装されました。Aniとは音声またはチャットでコミュニケーション可能で、質問に対して身振り手振りを交えて音声回答してくれることに加えて、その様子をキャプチャーしてXへ投稿することも可能です。

Sensor Towerのデータによると、2025年2月から7月までの『Grok』の市場別ダウンロード数では、インドがトップで約30%のシェアを占めています。日本のシェアは2.8%となっています。一方、収益ではアメリカが64%のシェアを占めてトップとなっています(日本は2.3%)。

DL-Revenue-share-by-market-Grok

2025年7月14日にAniとBad Rudiが実装されたのはiOS版のGrokのみですが、大きな話題となってメディアでの報道やX上での投稿が多数見られました。こうしたトレンドは、データ上でも大きなインパクトであったことが確認できます。

Sensor Towerのデータによると、2025年7月の日本のApp Storeにおける生産性カテゴリのアプリダウンロード数成長量で、トップとなっています。

DL-Growth-productivity-app-JP

2位の『Gemini』(Google)もAIアプリですが、ダウンロード数成長量で5倍近くの差となっており、『Grok』へのAIコンパニオン実装のインパクトの大きさが確認できます。『Grok』のAIコンパニオンには、実装当初、好感度メーターが使用できることも話題となりました。好感度メーターを上げていくことで、衣装変更、回転モーションが追加されるフィーチャーです。

好感度メーターは、基本的に有料サブスクリプションユーザー限定となっています。Sensor Towerのデータによると、2025年7月の日本のApp Storeにおける生産性カテゴリの収益成長量で、『ChatGPT』(OpenAI)に次ぐ2位となっています。

Revenue-Growth-productivity-app-JP

Ani実装後、日本でDAUが2倍以上になったGrok

iOS版『Grok』の日本におけるDAUでも、AIコンパニオン実装の効果がデータで確認できます。Sensor Towerのデータによると、2025年7月の日本におけるiOS版『Grok』のDAU推移を見ると、Ani実装後に大きく伸びていることがわかります。7月1日から7月14日の平均DAUと7月15日から7月31日の平均DAUの比較では、後者は2倍以上になっています。

DAU-trend-Grok-JP

ダウンロード数成長量および収益成長量上位のインドやアメリカでもDAUの上昇は確認できますが、日本のように2倍以上といった大きな伸びにはなっておらず、Aniの日本ユーザーへのインパクトの大きさがわかります。

ここまでのデータからわかるとおり、Aniの実装は各種指標上で大きなインパクトをもたらしています。モバイルAIアプリは今後もより活性化してさまざまなアプリがリリースされると予測できますが、Aniの事例を見ると、3Dアニメーションを活用したユーザーへの回答時に内容に応じたモーションを加えるなどは、新しいキーフィーチャーになる可能性があります。

Sensor TowerのApp Performance Insightsのユーザーは、過去のパフォーマンス指標に加えて、アプリ収益とアプリダウンロード数の推定値を見ることができます。本レポートのSensor Towerの収益予測はApp StoreおよびGoogle Playからのもので、ユーザー総消費額を表しています。

また、データにはサードパーティのAndroidマーケットデータは含まれておらず、App StoreもしくはGoogle Playアカウントの初回ダウンロードのみ集計しています。同じアカウントが他のデバイス、もしくは同じデバイスで行った重複ダウンロードは集計に含まれていません。ダウンロードデータは同じアプリの異なるバージョンもまとめて集計しています(例:FacebookとFacebook Lite)。なお、Google Playは中国本土では利用できません。

Sensor TowerのApp Performance Insightsで、過去のデータを検索しましょう!「ミーティングを希望」ボタンから弊社スタッフとのお打ち合わせの設定が可能です。 :

https://sensortower.com/ja/demo

Sensor Towerの紹介

2013年にサンフランシスコで設立されたSensor Towerは、P&G、Tencent、HBOなどのグローバルデジタル企業から信頼されている、データや分析環境を提供する企業です。モバイル市場のトレンド把握に役立つApp Performance Insights、広告戦略の最適化に活用いただけるApp Advertising Insightsなど、デジタル分析プラットフォームとしてモバイルのあらゆる場面で質の高いインサイトと先進のカスタマーサポートを提供しています。

日本オフィスは2025年より東京・神田に移転、日本でのビジネスを強化しており、パートナー企業様も急増中です。弊社スタッフも増員しながらお客様のサポートもより強化していく所存です。

Sensor Tower - モバイル市場の羅針盤

  • メディアに関するお問い合わせ:press-apac@sensortower.com

  • ビジネスに関するお問い合わせ:sales@sensortower.com

  • ブログ・レポートの更新情報はSensor Tower JapanのXで:@SensorTower_JP

※コンテンツを共有する場合は、「Sensor Tower」と出典を明記してください。



Sensor Towerのインテリジェンスプラットフォームについてもっと詳しく知りたい方はこちら


Hideyuki Tsuji

Written by: Hideyuki Tsuji, Insights Strategist - Japan

Date: August 2025