2020年7月にリリースされた『おねがい社長!』(IYAGAMES)は、会社経営をテーマにしたモバイルシミュレーションゲームです。IYAGAMESは香港のパブリッシャーで、複数のモバイルゲームを展開していますが、同作が収益の柱となっています。
Sensor Towerのストアインテリジェンスのデータによると、、『おねがい社長!』はリリースから3.5年を迎えた2024年1月に世界累計収益2億ドルを突破しました。同作は日本のモバイルシミュレーションゲームにおいて、2021年から2023年の3年間連続でトップのポジションをキープしています。
モバイルシミュレーションには、いくつかのジャンルがあります。『おねがい社長!』は「タイクーン/クラフト」ジャンルですが、Sensor Towerでは「シミュレーター」「サンドボックス」など全6つのジャンル分けをしています。
Sensor Towerのデータによると、2023年の日本のモバイルシミュレーションゲームの市場は約3.2億ドルで、ジャンル別では「タイクーン/クラフト」がその60%以上を占めています。2位は「シミュレーター」で15%、3位は「サンドボックス」で9%と続きます。
さらに詳しく見ると、2023年の日本における「タイクーン/クラフト」ジャンルの収益は2億ドル以上で、『おねがい社長!』は同期間に5,500万ドルの収益を上げています。これは「タイクーン/クラフト」ジャンル収益の約25%に相当します。
また、『おねがい社長!』はプレイヤーの平均年齢が比較的高めであることも特徴です。Sensor Towerのデータによると、日本におけるモバイルシミュレーションゲーム収益トップ3でのユーザー分布比較では、同作の45-54歳の層が最も多く、平均年齢は40歳となっています。男女比率も『タウンシップ』(Playrix)と『商人放浪記』(37GAMES)は女性が70%を占めていますが、『おねがい社長!』においては女性は40%に届きません。
『おねがい社長!』が堅調に収益を上げているのはキーファクターはなんでしょうか。1つは周年イベントが挙げられます。同作の周年イベント時では、実在のタレントを起用することが定番となっています。これまでの実績としては、1周年時に小倉ゆうか、2周年時にPPE41、3周年時に山田孝之、3.5周年時に貴島明日香と、有名タレントを起用し続けています。
この効果は収益データで確認できます。Sensor Towerのデータによると、『おねがい社長!』のリリースから2023年12月までの日本における収益推移を見ると、周年イベントが実施された7月、8月に大きな山ができていることがわかります。
同作では周年時イベント以外でも実在の人物とのコラボを積極的に行っており、コラボ相手も人気声優やプロ雀士など多彩です。また、モバイルゲームではよくコラボ相手をして選ばれるアニメとも実施しており、2023年9月の『頭文字D』コラボでは高橋涼介が入手できるゲーム内イベントを展開しました。
もう1つのキーファクターは、広告です。2023年の夏ごろから生成AIを活用したと思われるクリエイティブが展開され、日本のモバイルゲーマーの間でも話題となりました。生成AIを活用したことで、クリエイティブのバリエーションを増やし、広告ネットワークに応じたクリエイティブの展開(縦画面・横画面、動画・静止画など)を行っています。
Sensor Towerのデータによると、この効果は各広告ネットワークでも確認でき、Facebook、Instagram、UnityなどのネットワークでSoV(シェアオブボイス)の増加が確認できます。
この広告は付加的な効果もあります。広告を見た人たちが、「このイラストの人は実在するのか?」と検索を始め、SNSやインターネットの世界で話題に発展するケースが確認できます。一例を挙げると、Yahoo!知恵袋では「おねがい社長!の広告に出てくる人は誰ですか?」という質問が複数あり、いずれも2023年夏ぐらいに集中しています。
積極的な有名人とのコラボやバリエーション豊富な広告展開を継続的に行うことで、『おねがい社長!』は収益の安定化に成功しています。日本のRPDはほかの市場より大きく、右肩上がりであることが確認できます。
Sensor Towerのデータによると、台湾や香港市場もRPDは伸び続けているものの、日本はそれを大きく引き離しており、2023年の平均RPDは49ドルで、香港の平均RPD35ドルの1.4倍になっています。
Sensor Towerのストアインテリジェンスのユーザーは、過去のパフォーマンス指標に加えて、アプリ収益とアプリダウンロード数の推定値を見ることができます。本レポートのSensor Towerの収益予測は、App StoreおよびGoogle Playからのもので、ユーザー総消費額を表しています。
また、データにはサードパーティのAndroidマーケットデータは含まれておらず、App StoreもしくはGoogle Playアカウントの初回ダウンロードのみ集計しています。同じアカウントが他のデバイス、もしくは同じデバイスで行った重複ダウンロードは集計に含まれていません。ダウンロードデータは同じアプリの異なるバージョンもまとめて集計しています(例:FacebookとFacebook Lite)。
Sensor Towerのストアインテリジェンスで上記ゲームタイトルの過去のデータを検索しましょう!「ミーティングを希望」ボタンから弊社スタッフとのお打ち合わせの設定が可能です。 :
https://sensortower.com/ja/demo
Sensor Towerの紹介
2013年にサンフランシスコで設立されたSensor Towerは、Twitter、Unity、Tencent、HBOなどのグローバルデジタル企業から信頼されている、データや分析環境を提供する企業です。モバイル市場のトレンド把握に役立つストアインテリジェンス、広告戦略の最適化に活用いただける広告インテリジェンスなど、デジタル分析プラットフォームとしてモバイルのあらゆる場面で質の高いインサイトと先進のカスタマーサポートを提供しています。
日本オフィスは2023年夏より東京・日暮里に移転、日本でのビジネスを強化しており、パートナー企業様も急増中です。弊社スタッフも増員しながらお客様のサポートもより強化していく所存です。
Sensor Tower - モバイル市場の羅針盤
メディアに関するお問い合わせ:press-apac@sensortower.com
ビジネスに関するお問い合わせ:sales@sensortower.com
ブログ・レポートの更新情報はSensor Tower Japanツイッターで:@SensorTower_JP
※コンテンツを共有する場合は、「Sensor Tower」と出典を明記してください。