Sensor Towerのモバイルゲーム市場動向に関する本ブログでは、高い業績を上げたiOS App StoreとGoogle Playのゲームを毎月紹介しています。当社の分析は、複数の国での主要ゲームのランキングにおける傾向や動向を扱っており、主要なゲームやパブリッシャーの最新の市場動向を比較し、今後数ヵ月に備えようとしている専門家にとって業界標準となっています。すべての累計ダウンロード数および収益の予測には、2024年8月8日までのデータが含まれます。
ハックアンドスラッシュゲームの『Zenless Zone Zero(ゼンレスゾーンゼロ)』は、全世界のダウンロード数成長に基づくモバイルゲームのランキングで2位を獲得し、ランキングを駆け上がったことから、2024年7月に最もダウンロードされたモバイルゲームのランキングで9位となりました。10億ドル規模のヒット作である『Genshin Impact(原神)』と『Honkai:Star Rail(崩壊:スターレイル)』のパブリッシャーであるmiHoYoがリリースした同作は、瞬く間に世界を席巻しました。ローンチされた週には、中国、アメリカ、日本、韓国、ブラジルなど、27の市場のダウンロード数でトップに立ちました。また日本と韓国では、その月のダウンロード数でも1位を獲得しています。
『Zenless Zone Zero(ゼンレスゾーンゼロ)』は、より激しく、ペースの速い戦闘システムに重点を置いているという特徴があり、miHoYoのよく知られたRPGやストーリー重視のタイトルとは一線を画しています。このゲームは、アドベンチャーをテーマとしたSF設定で、サードパーソンのカメラ視点を採用しています。その3Dアニメのアートスタイルはミッドコアのオーディエンスを惹きつけ、プレイヤーはダイナミックで魅力的な体験に没入できます。
アクションのハックアンドスラッシュのサブジャンルは、ダウンロード数のシェアはさほど大きくありませんが、マネタイズに関しては最も効果的なサブジャンルの1つであり続け、毎月4,000万~5,000万ドルの総収益を上げています。『Zenless Zone Zero(ゼンレスゾーンゼロ)』と『Solo Leveling:Arise(俺だけレベルアップな件:ARISE)』の市場への参入は、同サブジャンルをここ数年で最も高い水準へと押し上げ、総収益は7月だけで1億1,200万ドルを超え、過去4年間の月間平均のほぼ3倍となっています。
新規参入と『Honkai Impact 3(崩壊3rd)』などの既存タイトルの継続的な成功のおかげで、アクションのハックアンドスラッシュジャンルはプレイヤーに多様な選択肢を提供し、活気に満ちた市場となっています。
『Zenless Zone Zero(ゼンレスゾーンゼロ)』の躍進が際立った一方、2024年7月のモバイルゲームダウンロード数成長ランキングでは、同じサブジャンルの2つ以上のゲームが上位にランクインすることはなく、ゲーマーの好みが多様であり、変化していることも示しています。これらの傾向をさらに掘り下げ、これらのジャンルの何が世界中のプレイヤーをここまで魅了しているのかについて見ていきましょう。
独立系開発者のJindoBluがリリースした『Offline Games - No Wifi Games(オフラインゲーム - 暇つぶしゲーム - パズルゲーム)』は、7月に全世界のダウンロード数成長と絶対ダウンロード数でトップの座を獲得しました。これまでに約7,200万ダウンロードされた同作は、パズル、カードゲーム、ワードゲーム、数字ゲーム、クラシックなボードゲームなどのカジュアルゲームジャンルのシンプルなアーケードゲームを数多く提供し、すべてオフラインでプレイできます。このことから、旅行や通勤中、接続状況の悪いエリアなど、インターネットアクセスが限られている、または不安定なユーザーにとって特に魅力的となっており、インド、ブラジル、インドネシアなどの主要市場での人気につながっています。このゲームは広告を通してマネタイズを行っていますが、有料で広告を非表示にすることもできます。
Outfit7がリリースした『My Talking Hank:Islands(マイ・トーキング・ハンク:アイランズ)』は、全世界のダウンロード数成長に基づくゲームのランキングで3位を獲得し、絶対ダウンロード数でも11位にランクインしています。もともとは2016年11月に『My Talking Hank(マイ・トーキング・ハンク)』としてローンチされたこのゲームは、リニューアルまでに2億以上のダウンロードがありました。同作は2024年7月に、新たな島の探検とゲームモードで一新され、合計ダウンロード数は2億3,300万に達しました。ダウンロード数に基づく主要市場には、インド、ブラジル、ロシア、アメリカ、インドネシアが含まれます。このゲームは、ペットをテーマとしたカートゥーンファンタジー設定で、サイドビューのカメラ視点を採用しています。その2Dカートゥーンのアートスタイルは、元の『Talking Tom(トーキング・トム)』シリーズのファンと新規プレイヤーの両方を惹きつけ、ダイナミックで魅力的な体験を提供しています。
7月は、『Offline Games - No Wifi Games(オフラインゲーム - 暇つぶしゲーム - パズルゲーム)』が、バトルロイヤルのヒット作である『Free Fire』が前月保持していた全世界のダウンロード数トップの座を奪いました。『Free Fire』は7周年を迎えようとしており、2017年9月のローンチ以来、全世界で16億9,000万ダウンロードを記録し、主要市場はインド、ブラジル、インドネシア、ベトナム、メキシコとなっています。
先月、ダウンロード数に基づくモバイルゲームランキングでトップを獲得した『Manage Supermarket Simulator』は、6位まで下がったもののトップ10に残り、これまでに4,300万以上のダウンロード数を記録しています。
新たなヒットタイトルである『Zenless Zone Zero(ゼンレスゾーンゼロ)』は全世界の収益成長率に基づくモバイルゲームランキングでトップを獲得し、絶対収益では13位となっています。消費者支出額に貢献している主要市場には、中国、日本、アメリカ、韓国が含まれます。『Zenless Zone Zero(ゼンレスゾーンゼロ)』のマネタイズの成功は、そのガチャシステム、多様なゲーム内通貨、魅力的なバンドルオファー、一貫したプレイヤーインセンティブと収益源を提供するサブスクリプションベースのメンバーシップによるものです。
パズルRPGの『Dragon Ball Z Dokkan Battle(ドラゴンボールZ ドッカンバトル)』が全世界の収益成長率に基づくモバイルゲームランキングで3位を獲得し、前月から71ランクアップして絶対収益では19位となっています。Bandai Namco Entertainmentがリリースした同作は、2015年1月以来、世界中で提供されており、これまでに約9,540万ダウンロードされています。同作はマネタイズにも長け、全世界での累計消費者支出額も43億2,000万ドルを超えています。消費者支出額に貢献している主要市場には、日本、あm理科、フランス、ドイツ、香港が含まれます。2024年7月、『Dragon Ball Z Dokkan Battle(ドラゴンボールZ ドッカンバトル)』は、9周年記念キャンペーンに牽引され、収益の急増が見られました。主要な要因としては、待ち望まれていたキャラクターがイベントやガチャに投入されたことなどが挙げられます。このキャンペーンでは、特別なミッション、ログインボーナス、限定の報酬、期間限定の複数ガチャ割引も提供され、プレイヤーの参加と支出を促進しています。
2024年7月には、2つの注目すべき新たなリリースがありました。
SmilegateによるMMORPGゲームである『Lord Nine (로드나인)』が、全世界の収益成長率に基づくモバイルゲームランキングで6位を獲得しています。同作はそのホーム市場である韓国で、総収益が2,180万ドルを超えています。このゲームはトップダウンのカメラ視点を採用しており、これは最近のMMORPGではやや独特と言えます。その3Dリアリスティックのアートスタイルと相まって、没入感があり、視覚に訴える体験を提供し、ミッドコアのMMORPGプレイヤーを惹きつけています。
NetEaseが中国本土市場向けにリリースしたバトルロイヤルゲーム『NARAKA:BLADEPOINT(永劫无间)』が、全世界の収益成長率に基づくモバイルゲームランキングで7位を獲得しています。このゲームは、戦闘の舞台をテーマとしたハイファンタジー設定で、サードパーソンのカメラ視点を採用しています。その3Dリアリスティックのアートスタイルはミッドコアのオーディエンスを惹きつけ、また同作はその近接攻撃を重視した戦闘、緻密な動きのメカニクス、およびハイファンタジー設定の独特な組み合わせにより、バトルロイヤルジャンルで際立っています。
『Dungeon & Fighter Mobile(アラド戦記モバイル)』と『MONOPOLY GO!』が、消費者支出額での1位と2位の座を維持しています。先月のグローバル展開を受け、モバイルMOBAの『Honor of Kings』は2ランクアップし、世界収益に基づくモバイルゲームランキングで3位を獲得しています。4Xストラテジーゲーム『Whiteout Survival(ホワイトアウト・サバイバル)』も9位となり、前月から1ランクアップしています。注目すべきなのは、同作は先日、累計総収益が10億ドルを超え、2023年にリリースされたゲームの中で、このマイルストーンを達成した3番目に速いゲームになったという点です。
Sensor Towerでは毎月、最初の3日間で創出された合計iOS収益に基づき、特定の市場で最も大きな影響を及ぼした上位2つのゲーム内イベントのリストを作成しています。これらのイベントを、各市場での収益増加率に基づいて順位付けしています。最新のランキングでは、待ち望まれていたキャラクターである新月のルナおよびストーリーアークの投入により、プレイヤーの支出が大幅に増加したことで、多数の市場で『Epic Seven(エピックセブン)』のイベントがリストの上位にランクインしました。イギリスでは、『Dragon Ball Z Dokkan Battle(ドラゴンボールZ ドッカンバトル)』のイベントが主な収益増加要因となり、同作の7月の世界収益の急増に貢献しています。