モバイル市場は、2023年、クリエイターエコノミーとサブスクリプションの追い風を受けて形勢が一変し、2024年に入ったいま、これまで以上に好調になっていく見込みです。data.aiの「2024年版モバイル市場年鑑」では、モバイルが1年間の市場低迷を経て復活したことを明らかにしています。2023年、消費者支出は、2022年の対前年比2%の落ち込みの後、1710億ドル (前年比+3%) の過去最高を記録しました。
「2024年版モバイル市場年鑑」では、世界中のアプリ開発者にとって記録破りの2年目となる年に焦点を当てています。
モバイルアプリエコノミーは、現在、0.5兆ドル市場。2023年には、アプリストア支出とモバイル広告支出全体で、1日あたり15億ドル近い支出となっています。この中には、モバイル広告支出の3620億ドル (前年比8%増) が含まれています。
2023年に堅調だった指標は、収益だけに留まりません。ダウンロード数や利用時間も力強い伸びを示し、史上最高を達成。利用時間は5.1兆時間 (前年比+6%) に到達。一方、ダウンロード数は2570億 (前年比+1%)と横ばいで推移しました。
こうしたアプリストア支出の増加の大部分はモバイルゲームによるものであり、2022年の空前の落ち込みを考えれば特に注目に値するものです。ゲームやアプリの見通しは2024年開始時の方が良かったものの、アプリへの消費者支出は今後も成長の大部分の推進要因となると予想されます。これは10年前ならまったく考えられなかったことです。
非ゲームアプリはゲームアプリを追い越し、消費者支出を前年比11%増の640億ドル、そして2016年以降の合計の6倍以上に引き上げました。ソーシャルアプリとクリエイターエコノミーが、広告以外の新たな収益化の方途を開拓しました。TikTokは、そのコンテンツクリエイターが「投げ銭」のメカニズムを開発し、生涯支出が100億ドルを超えたことでその地盤を確立しました。2024年には、アプリ内課金によるソーシャルアプリの直接消費者収益化は、競合の激化に伴って、150%増の13億ドルに成長する見込みです。そしてこの消費者支出の成功は、1つの部門だけにとどまらず、エンターテインメント、ソーシャルメディア、ヘルスケア/フィットネス、そして生成AIをはじめとする多くのジャンルもすべて、昨年、急速に成長しました。
モバイルゲームがほとんどの市場で急発展
モバイルゲームは、2022年、インフレと規制強化から最大の打撃を受けた業界の一つです。消費者支出の年2%の減少は、2022年の4%減少の延長線上にあるもののように見えるものの、より詳しくみれば、ほとんどの市場においてより明るい展望が見えてきます。
中国のモバイルゲーム支出は前年比ほぼ11%低下したのに対して、中国以外の支出は4%増加しています。2022年の中国以外での前年比11%の減少からみれば、見事な盛り返しです。2023年に2桁成長を果たした注目市場は、韓国、フランス、ブラジル、トルコなどです。
生成AIは、2023年、7倍の拡大という爆発的な成長を果たし、AIチャットボットやアートジェネレーターなど、新しい部門の急成長につながりました。また、AIの成長によって、ほぼすべてのモバイル部門で組み込み機能の導入が活発化し、新しいデジタルイノベーションの波に備えた地ならしが進展しました。注目に値する生成AIアプリには、 ChatGPT、Ask AI、Character AIなどがあります。
ChatGPTのリリースによって、特にAIチャットボットの領域の成長がさらに加速しました。OpenAIの新しいチャットボットアプリは、2023年3月のiOS上でのリリース (そして7月のGoogle Play上のリリース) 直後から成功を収め、生成AIアプリも2023年末までに月間消費者支出が1000万ドルを突破しました。
新しいAIアプリの大々的な宣伝が続くなか、従来型アプリの中にも、2023年に力強く成長したものもありました。「旅行アプリ」においては何年も抑えられてきた後の潜在需要から並外れた成長をみせたものの、2023年もこの増加が続くかどうかは予断を許さぬものでしたが、結果からみて、昨年の膨大な旅行需要は一過性のものではありませんでした。
旅行アプリのダウンロード数は、2023年、世界全体で30億回を突破してさらに記録を更新しました。これは、2022年比では13%の成長であり、コロナ前の2019年のダウンロード数 (22億回を軽々と上回るものです。消費者がコロナ後の生活にその行動を調整する中、モバイルがまだその日常生活の重要部分であり続けていることが明らかになりました。
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視聴数獲得競争:
モバイル広告支出は、ショート動画や動画共有アプリに牽引され、8%増の3620億ドルに到達すると予想されています。
モバイルゲームは逆風に直面:
ハイパーカジュアル、シミュレーション、アクションのジャンルに支えられ、ダウンロード数は880億回と安定しているものの、ゲーム支出は1073億ドル (前年比-2%) に低下しました。
海外での競争が過熱:
中国のショッピングアプリTemuとSHEINが西側進出を果たし、140%の伸びを達成しました。125市場でTemuがダウンロード数トップを占めています。
動画が首位をキープ:
ソーシャルアプリとエンターテインメントアプリが2桁成長しました。利用時間は12%増の3兆時間、支出は10%増の290億ドルに達しました。
旅行サービスの急増:
旅行ダウンロード数がこの部門で13%上昇。統合旅行サービス(26%)、ツアー予約(80%)、フライト予約(43%)がこの成長をけん引。
リアルイベント需要が急上昇:
SwiftiesやBey-Hiveのファンの後押しを受けて、チケット販売アプリは2023年に部門で需要が31%増加しました。コロナ前の水準からは66%増となっています。
data.aiの「2024年版モバイル市場年鑑」では、国・地域レベル、カテゴリーレベルの市場動向を徹底的に掘り下げました。これは、data.aiの業界をリードするGame IQ/App IQ分類法での120万超のアプリの分類と、data.aiの応用AIによる市場データがあってはじめて可能となるものです。ぜひ「2024年版モバイル市場年鑑」をご覧ください。