『AFK：ジャーニー』がアジアリリースで月間収益が10倍に増加

Sensor Towerのモバイルゲーム市場動向に関する本ブログでは、iOS向けApp StoreとGoogle Playで高いパフォーマンスを上げたゲームを毎月紹介しています。当社の分析は、複数の国での主要ゲームのランキングにおける傾向や動向を扱っており、主要なゲームやパブリッシャーの最新の市場動向を比較し、今後数ヵ月に備えようとしている専門家にとって業界標準となっています。すべての累計ダウンロード数および収益の予測には、2024年9月5日までのデータが含まれます。

スクワッドRPGの『AFK Journey（AFK：ジャーニー）』は、2024年8月8日のアジアでのローンチの成功が大きな原動力となり、全世界のダウンロード数成長に基づくモバイルゲームのランキングで6位、全世界の収益成長率に基づく同ランキングで堂々の2位を獲得しました。中国を拠点とする開発会社Lilithのグローバルパブリッシング部門であるFarlight Gamesがリリースした『AFK Journey（AFK：ジャーニー）』は、2024年3月のリリース以降、当初は欧米市場で成功を収め、アメリカ、フランス、ドイツなどの主要市場でダウンロード数ランキングのトップ5に入りました。アジアでのローンチにおいては、パブリッシャーによる大々的な広告活動が成果を上げ、韓国、台湾、香港、日本などの主要市場ではYouTubeにおけるSoV（シェアオブボイス）でトップとなり、最終的に韓国と台湾ではその月のダウンロード数ランキングで1位を獲得しました。

キャラクターボイス、著名人によるマーケティング、ライブオペレーションなど、積極的なローカライズの取り組みが同作の収益を大きく押し上げました。8月には収益が前月比で10倍近く増加し、その70％以上は新たに加わった市場から得られており、ゲーム体験を地域のオーディエンスに合わせて調整することの影響の大きさが示されました。

2024年8月世界のモバイルゲームダウンロード数成長ランキング 

『AFK Journey（AFK：ジャーニー）』が注目タイトルとして浮上した一方で、2024年8月のモバイルゲームダウンロード数成長昇ランキングでは、スーパーマーケットをテーマにしたシミュレーションゲームの人気が高まっていることも示され、トップ10内に2タイトルがランキング上位に入っています。こうしたトレンドをさらに詳しく掘り下げ、世界中のプレイヤーがこれらのジャンルに引きつけられる理由を探ってみましょう。

• 『My Supermarket Simulator 3D』は、全世界のダウンロード数成長に基づくゲームのランキングで1位を獲得し、絶対ダウンロード数では8位となっています。Playspareがリリースしたこのゲームは、2024年7月より世界中で提供されており、これまでに約1,600万ダウンロードを記録しています。主要市場は、インドネシア、ロシア、トルコ、メキシコ、ブラジルなどです。スーパーマーケットをテーマにしたこのゲームは、ハイパーカジュアルのオーディエンスを対象に、簡素化した店舗管理シミュレーションの仕組みを採用しています。3Dのリアルなアートスタイルとファーストパーソンカメラの視点を利用して、より洗練された体験を生み出し、幅広いオーディエンスに訴求しています。無料でプレイでき、広告を非表示にするオプションやアプリ内購入でマネタイズしています。

• 同じくスーパーマーケットをテーマにしたシミュレーションゲームの『Supermarket Master 3D』は、全世界のダウンロード数成長に基づくゲームランキングで4位となりました。CE-Gamesがリリースしたこのゲームは、これまでに約800万ダウンロードを記録しています。ダウンロード数に基づく主要市場は、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、ロシアなどとなっています。このゲームは、おなじみのスーパーマーケットシミュレーションの仕組みを取り入れていますが、縦画面であることと、シンプルなアクションベースのカジュアルゲームプレイに重点を置いていることが特徴です。

2024年8月世界のモバイルゲームダウンロード数ランキング

ダウンロード数成長ランキングからは高成長分野に関するインサイトが得られますが、絶対ダウンロード数に基づくランキングは、現在の消費者需要を反映しています。8月には、夏季オリンピックをテーマにしたイベントや、SNSで話題になったトレンドワード「brat（ガキ）」に着想を得たイベントによって『Roblox』が2ランクアップし、全世界のダウンロード数でトップの座を獲得しました。前月1位だった『Offline Games - No Wifi Games（オフラインゲーム - 暇つぶしゲーム - パズルゲーム）』も3位と、引き続き上位にランクインしました。7周年記念の『Garena Free Fire』は2位を維持しました。同作は2017年9月のローンチ以降、世界中で17億1,000万ダウンロードを記録しており、主要市場はインド、ブラジル、インドネシア、ベトナム、メキシコなどとなっています。

MOBAのヒット作『Mobile Legends: Bang Bang（モバイル·レジェンド: Bang Bang）』は、全世界のダウンロード数に基づくゲームのランキングで10ランクアップし、9位となりました。この急上昇を牽引したのは、最大市場のインドネシアです。同国では2024年を通してダウンロード数が着実に増加し、8月には490万以上のピークを迎え（この月の全世界における合計ダウンロード数のほぼ半分）、2018年2月以来の水準に達しました。パブリッシャーがローカライズイベント、文化的に関連性の高いプロモーション、eスポーツのトーナメントに重点を置いて取り組んだことが、ユーザー数の増加に直結しました。

2024年8月世界のモバイルゲーム収益成長ランキング

• MOBAのヒット作『Honor of Kings』は、全世界の収益成長率に基づくゲームのランキングで1位を獲得し、絶対収益でも前月から2ランクアップして1位となっています。8月収益の急増を大きく牽引したのは自国市場でのパフォーマンスで、中国の人気アニメ/マンガシリーズ『Fox Spirit Matchmaker（縁結びの妖狐ちゃん）』とのコラボレーションを実施しています。このコラボレーションでは、ゲームとアニメ/マンガシリーズの両方のファンに響く大人気のキャラクター、テーマ、装飾アイテムを展開しました。

• アクション対戦ゲームの『ONE PIECE Bounty Rush（ONE PIECE バウンティラッシュ）』は、全世界の収益成長率に基づくゲームのランキングで94ランクアップの7位となり、絶対収益では55位にランクインしています。Bandai Namco Entertainmentからリリースされたこのゲームは、サービス開始5.5周年と1億5,000万ダウンロード突破の節目を記念して特別イベントを開催しました。これらのイベントがゲームのマネタイズを大いに後押しし、月間収益は過去12ヵ月間で最高を記録しました。この収益を牽引した主要市場は、日本、アメリカ、台湾などです。

• ターン制タクティクスゲームの『Sword of Convallaria（鈴蘭の剣）』は、全世界の収益成長率に基づくゲームのランキングで10位に入り、絶対収益では87位となっています。X.D. Globalがリリースしたこのゲームは、まず2023年8月に中華圏市場でリリースされ、2024年7月末にグローバルでローンチされました。これまでに約310万ダウンロードを記録しており、主要市場は中国、日本、韓国、アメリカなどとなっています。同作はマネタイズにも優れており、8月の総収益は1,400万ドルを超え、前月比で20倍近く増加しています。この収益成長を牽引した主要市場は、日本、アメリカ、韓国です。このゲームはアドベンチャーをテーマにしたハイファンタジー設定で、アイソメトリックカメラの視点を採用しています。そのピクセルアートスタイルはミッドコアのオーディエンスを魅了し、その着想を得たクラシックなコンソールゲームを彷彿とさせる、慣れ親しんだ体験をもたらします。

2024年8月世界のモバイルゲーム収益ランキング

『Honor of Kings』は、全世界の収益に基づくゲームのランキングで2ランクアップして1位となりました。また『MONOPOLY GO!』は、消費者支出額に基づくランキングで2位を維持しました。コインルーターゲームの『Coin Master（コインマスター）』は、前月から順位を1つ上げて9位に上昇しました。注目すべきことに、同作は2020年以降、毎年10億ドルを超える収益を上げており、先ごろ累計総収益が60億ドルを突破しました。

2024年8月のゲーム内イベントランキング

Sensor Towerでは毎月、最初の3日間で創出されたiOSの総収益に基づき、特定の市場で最も大きな影響を及ぼした上位2つのゲーム内イベントのリストを作成しています。これらのイベントを、各市場における収益増加率に基づいて順位付けしています。

• カタツムリがタイムトラベルして魔神と戦う放置RPG『Super Snail（最強でんでん）』は、1周年とメジャーアップデートを記念してキャンペーンを実施し、新機能や改善点を取り入れました。このキャンペーンを受けて、アメリカのApp Storeでは、ピークの日で14倍も収益が増加しました。

• 日本で『GranBlue Fantasy（グランブルーファンタジー）』が夏期特別イベントを開催し、期間限定ガチャやイベント限定の報酬を用意したところ、ピーク時には、イベントまでの数日間と比較して収益が100倍に増加しました。

• 『Sword of Convallaria（鈴蘭の剣）』のグローバルローンチは、特に韓国で大きな反響を呼び、ゲーム内限定報酬やレアキャラクター入手率が上がるイベントを実施したことで、収益が大幅に増加しました。

• 中国では、期待が高まっていたサイドストーリー『Leaving the Sun Behind』の展開によって『Arknights（アークナイツ）』が大幅な成長を遂げ、ピーク日の収益は27倍にも増加しました。

• 2024年8月、『Clash of Clans（クラッシュ・オブ・クラン）』は12周年を記念し、アニメに着想を得たプレミアムコンテンツやその他の期間限定アイテムを展開し、イギリスのイベント収益成長率ランキングでトップになりました。

こうしたイベントの効果を理解し、競合他社がどのようにしてゲーム内イベントを成功させ、ユーザーエンゲージメントや継続率を高めているかを知ることが、長期的な成功を実現する上でとても重要です。